編集デスク便り ルミとあややのから騒ぎ

第10回 今月の「Justな人」

「“諦めない”生き方」

「ベンチャーの母」今野由梨さんが、ついに『Just』に登場!
波瀾万丈の半生と、諦めない生き方の神髄に、あややとルミが迫ります。
●ルミ(人見ルミ) カセット/CDマガジン『Just』 編集長にしてインタビュアー。特技:ヨガ
●あやや(林彩子) 『Funai★Media』副編集長。特技:家庭料理
ルミ 今野由梨さんのご本、「ベンチャーに生きる」は読んだ?
あやや 泣いた!
ルミ でしょう?!泣いたでしょ?
あやや 泣けるよねえ〜(T_T)
ルミ 私、いまのあややに、これはいいなと思っていたの。
あやや そうなの? ありがとう!! 泣いた場所は、ルミさんとは違うとこだと思うけどね。(笑)
ルミ そう? どこに感動したの?
あやや 元ご主人が、今野さんをお金の面で支えてくれていたでしょう。彼は、周囲に「今野さんと結婚していなければ、世界で活躍していた」と言われていたと。
ルミ そんなこと書いてあった?
あやや あった、あった! 今野さんは、自分の志が社会で認められるまで、プライベートバンクでもあった彼を、経済的にも精神的にも頼りにしていたし、感謝もしていた。社会の母のような心をもつ彼女の次のフレーズに涙したんだけど・・・。
「ひとつだけ心に決めていた。もし、勉さんが別れたいと言ったら、なぜ?と言える訳が無い・・・。支えてくれてありがとう。それだけを言おうと思ってきた」と。ある日、彼が飼っていた大好きな猫が1匹だけいなくなって、そして勉むさんがいなくなっていた…。
ルミ へー。そこにぐっときちゃった訳ね! 私は全然記憶にない。読み飛ばしているなあ!
あやや えーッ?!(爆笑)  ここは、もう涙、涙だったよぅ〜
 

今野由梨(こんのゆり)
1936年、三重県生まれ。津田塾大学英文学科卒業。さまざまな仕事を経験して、1969年にダイヤル・サービス株式会社を、1979年に株式会社生活科学研究所を設立。代表取締役社長・CEO。1993年より財団法人2001年日本委員会理事長を務める。近著に「ベンチャーを生きる」(日本経済新聞社)は大きな反響を呼んでいる。
ダイヤル・サービス http://www.dsn.co.jp
ルミ へえー! やっぱ違うね、感性が。
あやや 20年間ペーパーマリッジだった。彼女のもとを去った彼が、「会社に電話をくれれば僕はいつでもそこにいるからね」と置手紙があった。なんて、ドラマチックなのかしら。
ルミ 離婚というよりは卒業されたのかもね。 そういう関係って素敵だなあ。
私が泣いたのはね、彼女がどうしても東京の大学に行きたくて、周りの反対を押し切って受験をした。当時は、女がなんで4年生の大学に?! と大反対だったんだって。
で、合格発表までの間、親戚に強引に就職の世話をされて、企業に入社をしたわけ。でも津田塾大学に合格したことが分かり、わずかな期間で辞めた。すると周囲は、今野さんを「社会を知らない奴だ」とさんざん罵った。ある時、地元に戻り夕暮れ時のホームに一人しょんぼり立っていたら、かつての塾の先生がきて、「ひとりでよくやった」って言って彼女を受け入れてくれた・・・。そこにポロっときたよ〜。
あやや ええー、そこ?? 全然覚えてない〜っ(大爆笑)
ルミ なんでー? 素晴らしいじゃないの、この情景!! みんなが敵に回っているのに。
あやや ルミさん、自分に照らし合わせているでしょう!!
ルミ では、今野さんがブラジル人の青年と養子縁組をされたところはどう?
あやや ジョージくん?
ルミ そう、私は今野さんに取材で伺ったときにもう涙が止まらなかった。子どものいない彼女が、ある時、急に彼から「お母さんになってください」と言われ、ブラジル人のジョージくんとエイヤで養子縁組をして、一緒暮らすんだけど、次第に反抗されるわけ。彼は、いじめにあって厳しい条件で育ってきたらしくて、愛情に飢えているから自分の苛立ちを彼女にぶつけてくる。
今野さんに対して、「あんたなんてウザイよ」とかね、「母親じゃねえ」とか言われて、これでもかという感じで彼女を試すんだよね。それでも今野さんは、彼のすべてを受け入れて、「それでもあなたを愛しているのよ!大好きよ」っていってギュッと抱きしめたんだって。私は、それ聞いたときに本当の母親だなと思ってボロボロ泣いてしまった。
あやや ルミさんらしいね。私もそこは、ジ〜ンときたね。
今野さんが幼少時代に、神さまに誓った話しはいい話しだよね。
ルミ 9歳で、戦火の中に取り残されて、「命を助けてくれたら、平和な世の中にします」って誓うんだよね。
あやや この体験が、一貫した精神を宿し、彼女のビジネスへの姿勢に活かされている!
ルミ そう。今野さんのビジネスの原点って儲けたい、会社を大きくしたいという信念でやっているわけではないのね。「ダイヤル110番」という仕事が当たったのも、多くの母親が一人で育児をしていて困っているから何とかしないと、という思いから相談窓口を電話でスタートしたわけだし。
あやや だから、応援者が次々と現れるんだよね。
ルミ 情熱と温かさとかね、色々な人に愛される資質を持った人だと思う。
あやや 「ガールズ・ビー・アンビシャス」の話しだけどね、彼女は自分が苦労したから、次は自分が応援すると決めている。こういう女性になりたいなあと思ったわ。
ルミ 本当に素敵な人よ。69歳とはとても思えない! 本当にお若くて50代後半にしか見えないね。背中もしゃきっとしているし。おしゃれだし。
あやや 私もお会いしたかったわ。
ルミ 立ち上げ当時、電電公社(現在のNTT)の大幹部の人を駐車場で待ちぶせして、電話の課金制度(※)を申し入れた。そのとき、「女なんか子どもを産んで家にいればいいんだ。帰れ!」と散々に云われて 普通だったら、泣いて帰るところを彼女は、めげなかった。
困っている母親が待っているのに、課金制度がないっていうのはおかしいじゃないかとの強い思いが伝わり、次第に大幹部が折れてしまう。でも、法律を改正するのに20年かかっちゃったんだってね! 気の遠くなるようなことを、やり抜いた。これぞ、本当のベンチャーだと、思った。
あやや 社会のため、困っている人のため・・・これは、志だよね。
先日、私が取材したケアハウス「やしお寿苑」の女性理事、大谷さんの志も凛としていて、そこでも泣いちゃったんだけどね!
ルミ そこでも? フフフ、ひょっとして更年期障害じゃないの?
あやや あははーっ!そうかもねーっ
ルミ 涙もろい歳になってきちゃったのよ。私も最近ダメなのよ、テレビ番組で、必死に合唱をしている子どもを見るだけで、ぐっときて涙がでちゃう! 私はこんなだったっけ〜って思っちゃうよ。もう長くないんじゃない? 私達!
あやや あーそう?(笑)
ルミ きっともう、余命いくばくも無いのよ!(しんみり)
あやや そうか〜…。世の中をよくしようと頑張っている先輩を見ているんだから、私たちも後悔ないようにしなくちゃね。
ルミ えーえー。そうですねえ。(涙ぐむ)
課金(ルミ注) 通常の通話料金に、コンテンツ料金やサービス料金を載せた金額を設定し、顧客からはこのプラスした分も合わせて支払ってもらうこと。コンテンツ課金、サービス課金などがある。特定の電話番号にかけた場合、通常の3分10円ではなく、3分30円、40円といった料金がかかるようなもの。
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JUST 2005年12月号 <ビッグトーク> 今野由梨氏
 「“諦めない”生き方」 → カセット/CDマガジン『Just』ページへ

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